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*「地域美学スタディ」は、アッセンブリッジ・ナゴヤ 2016 現代美術展「パノラマ庭園 ー動的生態系にしるすー」を読み解くためのトークシリーズです。
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三瀬夏之介さんは、東北芸術工科大学への赴任をきっかけに2008年より山形を拠点に絵画制作と美術教育に取り組んでいます。 日本画を基軸に、民俗学への強い関心から土地や風土など地域的な要素を探求しつつ、同時に一貫して「日本」という国家とその歴史への言及も試みています。
2009年からは、大学における教育(チュートリアル)活動の一貫として「東北画は可能か?」というプロジェクトを始動し、 2011年の東日本大震災を大きな転機としつつも、その活動は現在まで継続されています。当初は、「日本における東北という辺境(世界における日本という辺境)において、その地域名、国名を冠した絵画の成立の可能性を探る試み」としてスタート したものですが、震災により、その不安を払拭するように絵を描く根源的な欲求を満たす集団的活動の場となり、同時に東北(そして日本)の状況を次代へと伝えていく動きへと変化していきました。
特定の地域名を冠し、集団として実践される絵画は、何を目指しどこへ向かうのでしょうか?東北画のこれまでを振り返り、同時にその将来的なビジョンを共有し、地域における協働的な芸術実践の意義を再考します。
1973年、奈良県生まれ、山形県在住。 1999年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻(日本画)修了。2012年第5回東山魁夷記念日経日本画大賞展選考委員特別賞受賞。岩絵の具や和紙、金箔など日本画の典型的な素材を用いるなど「日本画」を強く意識する一方で、コラージュの手法を採用しアクリル絵具なども用いるなど様式に囚われない方法で作品を制作する。2009年より「東北画は可能か?」というタイトルのもと、教授を務める東北芸術工科大学にて、教育の一環あるいは日本画についての考察の一環として、東北における固有の美術を考えるチュートリアル活動を継続し、展覧会、レクチャー、ワークショップなどを行っている。
キュレーター 1978年生まれ。 2009年から2016年まで、青森公立大学国際芸術センター青森[ACAC]学芸員。近年の企画に、十和田奥入瀬芸術祭(十和田市現代美術館、奥入瀬地域、2013年)、「MEDIA/ART KITCHEN」(ジャカルタ、クアルランプール、マニラ、バンコク、青森、2013-2014年)、あいちトリエンナーレ2016(愛知県美術館ほか、2016年)などがある。アッセンブリッジ・ナゴヤ2016 ディレクター。