アーカイブ
Minatomachi POTLUCK BUILDING 3F: Exhibition Spaceでは、1991–99年まで鶴来町(現・石川県白山市)で開催された「鶴来現代美術祭」を検証するアーカイブ展を開催します。
金沢市の南に位置する鶴来町は、古来から信仰の山として崇められてきた白山の美しい山並みの風景とともに、山麓と平野部を結ぶ加賀地方の交易市場として栄えました。また地場産業が盛んで地域の祭りとも連動した「つくりもの」文化が脈々と受け継がれている地です。
当時地元の商工会青年会が主催となり、国際的に活躍するキュレーターのヤン・フート(1936–2014年)が企画に関わったこのプロジェクトでは、海外から招聘したアーティストたちが滞在し、地元の産業と協働して制作を行いました。このアートフェスティバルは、昨今まちづくりやアートの分野でも注目されている地域とアートの取り組みを実践した先駆的事例のひとつとして注目されています。
本展では、美術祭の関連資料、当時の関係者へのインタビュー映像とともに、鶴来町出身で美術祭に触れたアーティスト・坂野充学による鶴来をテーマにした映像作品を展示します。会期中トークイベントも開催し、展覧会を通して地域とアートの関わり方について考察します。
オープニング・ポットラック・パーティー
2017年6月9日(金)18:00–(持ち寄り歓迎・自由参加)
会 場|Minatomachi POTLUCK BUILDING
会期中、地域とアートの関わり方について考察するトークイベントを行います。
会場|Minatomachi POTLUCK BUILDING
参加|無料(予約不要)
日時|2017年6月10日(土)14:00–16:00
スピーカー|吉田一夫(元・鶴来商工会青年部、吉田屋店主)、坂野充学
聞き手|小松崎拓男
鶴来町で醤油店を営み、美術祭では主要な役割を担った吉田一夫氏をお招きし、当時中学生で美術祭を体験しアーティストを志した坂野充学とともに、まちからの視点で「鶴来現代美術祭」について紐解きます。
また本展出展作品であり、鶴来の風土や文化をテーマにした映像インスタレーション《Visible Breath》についてお話を伺います。
日時|7月15日(土)14:00–15:30
スピーカー|鷲田めるろ
「鶴来現代美術祭」や、1986年にベルギー・ゲント市内の約50カ所の住宅を会場に開催された「シャンブル・ダミ(=友人の部屋)」展を企画したキュレーター、ヤン・フートについて、美術館外で行われるプロジェクトや、地域とアートの関係からお話を伺います。
POTLUCK SCHOOL 2017
ゲスト| 岩崎貴宏(アーティスト)、鷲田めるろ
日時|2017年7月14日(金)19:00–20:30
会場|Minatomachi POTLUCK BUILDING
参加費|500円(軽食・ウェルカムドリンク付き)
定員|50名(予約不要)
現在開催中の第57回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館について、出展アーティストとキュレーターにお話を伺います。
詳しくはこちらをご覧ください。
POTLUCK SCHOOL 2017 vol.1
岩崎貴宏・鷲田めるろ 「ヴェネチア・ビエンナーレ|逆さにすれば、森」
1991–99年まで鶴来町(現・石川県白山市鶴来地区)を舞台に7回にわたって開催された美術祭。
特に1995年までは、ベルギー・ゲント市の現代美術館館長や、1992年にドイツ・カッセルで開催された国際展「ドクメンタ9」のコミッショナーも務めたヤン・フートが企画に関わり、国際的なアーティストが滞在し、鉄加工業など地元の職人の協力を得て制作を行うことが実現した。
近年各地で盛んに開催されている地域の芸術祭の先駆的な事例であり、開催事務局を地元の商工会青年部が担い、制作に協力していたことも大きな特徴。
その背景には、「つくりもの」で有名な地域の祭り「ほうらい祭り」での恊働作業が伝統的に続いてきたことがあると言われている。
美術祭の開催から約20年が経った現在、坂野充学、鷲田めるろ、小松崎拓男が中心となり、保管年限を過ぎてた資料のアーカイブや、地域関係者や参加アーティストへのインタビュー記録、調査研究などに取り組んでいる。
2016年には「鶴来現代美術祭アーカイブ展」として金沢21世紀美術館・アートライブラリーにて、アーカイブを公開。
アーティスト
1977年石川県鶴来町(現・白山市)生まれ。同地、東京都在住。
フィールドワークを通して出会う人物の視点をもとに、特定の土地の歴史や記憶を視覚化するプロジェクトを中心に展開。またクリエイティブスペース・MITSUME(東京)を立ち上げ、企画、運営を行う。
主な個展に「Visible Breath」(アーツ千代田3331、東京、2012年)、「appearing」 (關渡美術館、2013年、台湾)、「可視化する呼吸」(金沢21世紀美術館、石川、2016年)などがある。
金沢21世紀美術館キュレーター
1973年京都府生まれ、石川県在住。
1999年より金沢21世紀美術館の建設事務局に勤務。
地域や参加をテーマに現代美術や建築の展覧会を企画する。
金沢21世紀美術館での主な企画に、妹島和世+西沢立衛/SANAA(2005年)、アトリエ・ワン(2007年)、イェッペ・ハイン(2011年)、島袋道浩(2013年)、坂野充学(2016年)などの個展、「金沢アートプラットホーム2008」、「3.11以後の建築」(2014年)などのグループ展がある。
また第57回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館キュレーター(2017年)を務める。
金沢美術工芸大学教授
1953年千葉県生まれ、石川県在住。
NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]学芸課長、広島市現代美術館副館長を経て2007年より現職。
絵画からメディア・アートなど、幅広い視野で現代美術の展覧会を数多く企画。
主な企画に「TOKYO POP」(平塚市美術館、神奈川、1996年)、「New Media New Face New York」
(NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]、東京、2000年)、「絵画新世紀」(広島市現代美術館、2003年)などがある。