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MAT Exhibition vol.2
「絵画の何か」Part1
Something of Painting Part1

kaiga1

絵画の何か

「絵画の何か」を表題に「つくること、続けること、これからの絵画」について、同時代を生きる画家たちとともに考えます。
愛知はこれまで数多くの優れた画家を生み出してきた場所でもあり、本展企画者である佐藤克久も名古屋を拠点に絵画/立体を制作するアーティストの一人です。
現代美術のフィールドにおいて、今日では素材や手法、表現形式の幅は大きく広がり、参加型や共同制作といった複数人での作品制作などが、数多く見受けられるようになりました。その一方で「絵画」は、多くの画家たちが辿ってきた長い歴史の上で常に、「描く」というプリミティブで孤独な行為によって表現を模索してきたジャンルだと言えるでしょう。
作家自らの問題意識を出発点に、絵画を多角的に捉え、「絵画の何か」について思考し、これからの絵画への可能性を探ります。

出展アーティスト

川角岳大、小島章義、堀 至以、守本奈央

スピーカー

田島秀彦、山田純嗣、花木彰太、前川祐一郎、笠木日南子、天野一夫、島 敦彦

ただ良い絵が見たいだけ、描きたいだけ、のはずなのに!

“描く事が生きること”に直結している人を除いて、作品を作る必然はどこかから借りてきたような言葉や生活の中から見つけたものごとで取り繕い、それが自分にとってのリアルなのか(と思い込むか)、アトリエ内での制作のやり取りから得た実感を原動力にするかのどちらかです。このシリーズは“描く事が生きること”に直結していない人について考察します。
経験をモトにした「実感のこもった画家の言葉」は、特別なように思えるのですが、ある程度の経験を積んだ画家同士なら共有できる感覚です。この画家の感覚をオープンにすることで、取り立てて特別なことではないということと、特別なことが見えてくるかもしれません。共通認識から先の“ある境地”に向かうためには、もはや一人きりで立ち向かうのではなく、多くの経験と言葉を共有し、特別なことを拾い上げ、それらを推進力にして未だ見ぬ絵画を目指せたらと思うのです。
それともう一つ。自分と作品のやり取り、共通認識をベースにしつつ外部からの“何か”を無理やりにでも導入しないと、似たり寄ったりな現状を突破出来ないのではと思い当たったのです。“何か”は理念のようなもので、たとえば「アニメを取り入れる」とか「美術史に寄り添う」といった交換可能なコンセプトなどでは無いように予想しているのですが、今のところ私にはワカラナイのです。このシリーズでは、導入する“何か”が何なのかを探る意味も持つのです。

絵画を中心に展覧会を企画するシリーズ「絵画の何か」の第一回目として「何か=次元」と仮定し、川角岳大、小島章義、堀 至以、守本奈央の作品を展示します。
この4名は世代も制作場所もそれぞれ異なりますが、共通しているのは、絵画と並行して立体作品を制作している点です。素材や技法や思考の制約を軽々と飛び越えて、二次元である絵画と三次元である立体に取り組んでいます。彼らにとって当たり前の制作方法をひとつの共通認識として、形式を超えて地続きに広がる表現について考えていきましょう。

佐藤克久
レポート

「絵画の何か」を表題に「つくること、続けること、これからの絵画」について、同時代を生きる画家たちとともに考える展覧会、トークシリーズを開催しました。東海エリアはこれまで数多くの優れた画家を生み出してきた地域であり、本展企画者・佐藤克久も名古屋を拠点に絵画/立体を制作するアーティストの1人です。
現代美術のフィールドにおいて、今日では素材や手法、表現形式の幅は大きく広がり、参加型や共同制作といった複数人での作品制作などが、数多く見受けられるようになりました。その一方で「絵画」は、多くの画家たちが辿ってきた長い歴史の上で、常に「描く」というプリミティブで孤独な行為によって表現を模索してきたジャンルだといえます。
本展はアーティスト自らの問題意識を出発点に、「絵画」と向き合うアーティストや美術館学芸員と共に「言葉」や「経験」を共有し、考察する取り組みでした。
また本展やトークイベントに訪れた来場者の反応から、東海エリア特有の「絵画」に対する関心の高さや、「絵画」に関わりのある人口の多さ、アーティストそれぞれの制作に対する思いが顕著化される機会にもなりました。

写真|城戸 保

MAT Exhibition vol.2 「絵画の何か」Part1
開催日
2015年11月13日(金)-12月26日(土)
時 間
11:00-19:00(入場は閉館30分前まで)
会 場
Minatomachi POTLUCK BUILDING 3F : Exhibition Space
休館日
日曜・月曜・祝日
料 金
無料
企 画
佐藤克久、Minatomachi Art Table, Nagoya [MAT, Nagoya]
主 催
港まちづくり協議会

【トークシリーズ「絵画の夕べ」】
Talking about Painting

同時代を生きるアーティストや学芸員とともに、「絵画」について対話するトークシリーズを開催。「絵画の“何か”」を探るため、各回テーマを設定し、対話の中から答えを探りました。

会 場|Minatomachi POTLUCK BUILDING
参 加|無料

第一回「絵画を続けていくこと」

開催日|2015年11月21日(土)18:00-20:00
スピーカー|田島秀彦(アーティスト)、山田純嗣(アーティスト)、笠木日南子(名古屋市美術館学芸員)
聞き手|佐藤克久
来場者|50人

第二回「種明かしと方法」

開催日|2015年11月27日(金)19:00-21:00
スピーカー|花木彰太(アーティスト)、前川祐一郎(アーティスト)、天野一夫(美術評論家)
聞き手|佐藤克久
来場者|80人

第三回「絵画のこれから」

開催日|2015年12月19日(土)18:00-20:00
スピーカー|「絵画の何か」出展アーティスト[川角岳大、小島章義、堀至以、守本奈央]、島 敦彦(愛知県美術館館長)
聞き手|佐藤克久
来場者|93人

関連リンク
プロフィール
川角岳大
Gakudai Kawasumi

1992年愛知県生まれ。東京都在住。
犬、カニ、車、パイナップルなどの絵を描き、木材なども使用した大きなものなど、幅広く制作している。
主な展覧会に「The Bear year」(Gallery FINGER FORUM、愛知、2013年)、「science fiction Ⅱ」(Art spot Korin、京都、2014年)、「ド根性絵画説」(名古屋市民ギャラリー矢田、愛知、2015年)、「アートアワードトーキョー丸の内 2015」(丸ビル1F マルキューブ、東京、2015年)などがある。

《I’m a dog》2015


小島章義
Akiyoshi Kojima

1979年愛知県生まれ。愛知県在住。
絵画作品を主題に平面作品の他、近年ではレリーフ、立体作品なども制作している。主な展覧会に「FROM yadokari tokyo vol.14」(itadaki BLDG.、東京、2015年)、「Unknown Nature」(早稲田スコットホールギャラリー、東京、2014年)、「アートプログラム青梅 雲をつかむ作品たち」(青梅市立美術館、東京、2013年)「little island」(GALLERY TERRA TOKYO、東京、2013年)などがある。
web http://little-island.webnode.jp/

《factor X》2015


堀 至以
Chikai Hori

1988年愛知県生まれ。石川県在住。
ドローイングを制作の土台とし、抽象的な絵画及び立体の制作を行っている。制作の中での発見を形態化していくことで、変容する可能性を内包した作品について思考している。主な展覧会に「Make The Plant」(問屋まちスタジオ、石川、2014年)、「ファン・デ・ナゴヤ美術展2014 虹の麓-反射するプロセス-」(名古屋市民ギャラリー矢田、愛知、2014年)などがある。
web http://horichikai.web.fc2.com

《Fragment》2014


守本奈央
Nao Morimoto

1991年兵庫県生まれ。愛知県在住。
平面、立体を問わず、「なんともいえなさ」「とるにたらなさ」などの弱くかすかな気配をテーマに手法を固定することなく制作をしている。作品がなにものにもなりきらない状態をよしとし、従来とはことなる絵画へのアプローチを行っている。主な展覧会に「ド根性絵画説」(名古屋市民ギャラリー矢田、愛知、2015年)、「森のオープンスタジオ」(美濃加茂文化の森、岐阜、2015年)などがある。
web http://www.nao-morimoto.com

《オムニバス(いのち)》2015


田島秀彦
Hidehiko Tajima

1973年岐阜県生まれ。岐阜県在住。
古今東西のタイル柄やステンドグラスなど日常に遍在する装飾模様などをモチーフとし、絵画やインスタレーション作品を制作している。主な展覧会に「愛知ノート」(愛知県陶磁美術館、愛知、2015年)、「窓から窓へ、風景から風景へ」(ケンジタキギャラリー東京、東京、2013年)「ポジション2012 名古屋発現代美術 この場所から見る世界」(名古屋市美術館、愛知、2012年)などがある。

《Arabesque(14-02)》2014


山田純嗣
Junji Yamada

アーティスト
1974年長野県生まれ。愛知県在住。
自作の模型を写真に撮影し、そのプリントの上に銅版画を重ね刷る、「インタリオ・オン・フォト」と自ら呼ぶ手法で、3次元と2次元の認識を往還する作品をつくり、「絵画とは何か」という問いに向き合っている。主な展覧会に「山田純嗣展 絵画をめぐって 理想郷と三遠法」(一宮市三岸節子美術館、愛知、2014年)、「アイチのチカラ!」(愛知県美術館、愛知、2013年)などがある。
web http://junji-yamada.com/

《GARDEN OF EARTHLY DELIGHTS》2010-12


花木彰太
Shota Hanaki

アーティスト
1988年愛知県生まれ。愛知県在住。
関係性としての絵画をテーマとし、日常的な風景や建築、家屋などの構造物とそこから生まれる光と影を色面、線など絵画の基本的な要素に還元し絵画を制作。主な展覧会に「meeting」(GALLERY VALEUR、愛知、2015年)、「in the forest」(metsa、愛知、2015年 )、「Flesh and bone」(海岸通ギャラリー CASO、大阪、2013年)などがある。

《structure》2015


前川祐一郎
Yuichiro Maekawa

アーティスト
1981年静岡県生まれ。愛知県在住。
前川の作品は、制作するなかで画面の内や外で感じられる知覚を頼りにして描かれており、他者と感覚として共鳴できる部分を大事にしながら、描かれたものが想像力を誘発するような画面について考察している。主な展覧会に個展(愛知県立芸術大学サテライトギャラリー、愛知、2015年)、「Row Row Row Your Boat/TWS-Emerging 2014」(トーキョーワンダーサイト渋谷、東京、2014年)などがある。
web http://yuichiromaekawa.blogspot.jp

《untitled》2015


笠木日南子
Hinako Kasagi

名古屋市美術館学芸員
富山県生まれ。
あいちトリエンナーレ2010ではキュレーターを務めた。主な展覧会に「放課後のはらっぱ 櫃田伸也とその教え子たち」(愛知県美術館・名古屋市美術館、愛知、2009年)「ポジション2012 名古屋発現代美術 この場所から見る世界」(名古屋市美術館、愛知、2012年)、「親子で楽しむアートの世界 遠回りの旅」(名古屋市美術館、愛知、2014年)などがある。


天野一夫
Kazuo Amano

豊田市美術館チーフキュレーター
1959年東京都生まれ。O美術館学芸員、京都造形芸術大学教授を経て現職。
主な展覧会に「ART IN JAPANESQUE」(O美術館、東京、1993年)、「メタモルフォーゼ・タイガー」展(O美術館、東京、1999年)、「近代の東アジアイメージ―日本近代美術はどうアジアを描いてきたか」(豊田市美術館、愛知、2009年)、「変成態―リアルな現代の物質性」展(gallery αM、東京、2009-10年) などがある。


島 敦彦
Atsuhiko Shima

愛知県美術館館長
1956年富山県生まれ。富山県立近代美術館、国立国際美術館を経て現職。
主な展覧会に「瀧口修造とその周辺」(国立国際美術館、大阪、1998年)、「小林孝亘」展(国立国際美術館、大阪、2000年)、「O JUN」展(国立国際美術館、大阪、2002年)「絵画の庭ーゼロ年代日本の地平から」(国立国際美術館、大阪、2010年)、「あなたの肖像ー工藤哲巳回顧展」(国立国際美術館、大阪、2013-14年)などがある。


佐藤克久
Katsuhisa Sato

美術家
1973年広島県生まれ。愛知県在住。
活動当初は概念的な立体や写真作品を発表していたが、近年は絵画形式を中心に制作している。主な展覧会に「反重力」(豊田市美術館、愛知、2013年)、「リアル・ジャパネスク」(国立国際美術館、大阪、2012年)などがある。MAT, Nagoyaのコミッティーメンバーも務める。
web http://satokatsuhisa.jimdo.com

《ものだね》2015